テノール歌手・山本耕平

「ライジングスターシリーズ」は、八ヶ岳高原音楽堂開館30周年の節目に、次世代を担う音楽家たちを紹介することを目的にスタートしました。
今年は、ヴァイオリン郷古 廉さん、チェロ横坂 源さん、ピアノ北村朋幹さんによるピアノ三重奏、そしてテノール山本耕平さんをご紹介します。
ピアノ三重奏の3人は、すでに国内での出演数も多くご存知の方も多いのではないでしょうか。そこで今回は2年間のイタリア研修を経て、この春、日本での新たなスタートをきった山本耕平さんの魅力に迫ります。


テノール歌手・山本耕平、33歳。 10代から活躍できるピアノや弦楽器に比べて、声の成熟に時間がかかる声楽の世界では、これからに期待がかかる、まさに“ライジングスター”といえる存在だ。

女王ネトレプコの代役で脚光を浴び、躍進を続ける中村恵理(2016年音楽堂出演)や、昨年ウィーン国立歌劇場にデビューした藤木大地など、日本人歌手の世界での活躍は目覚しいが、彼らに続く実力ある若手達のなかで、特にスター性を兼ね備えた存在として、彼を推したい。

今年5月、2年ぶりという凱旋リサイタルを聴いた。
プログラムは、イタリアオペラを中心に、自身のイタリア研修の成果の報告会とも言える内容だった。大曲に次ぐ大曲を披露し、イタリアで学んだことを、これからどう伝えていきたいかを熱弁する全力疾走のステージに、満席の客席は大いに沸いた。
全力疾走のステージから数ヶ月たち、少し落ち着きを取り戻した山本から、今最も歌いたい曲として悩みぬいた上で出てきたプログラムは「歌曲」だ。
9月29日に向けた思いを聞いた。

「橋渡しがしたい。」

オペラ歌手が第一線で活躍できる期間は決して長くはない。
オペラ歌手にとって歌曲は一線を退いてからという歌手もいるが山本は違う。

-イタリアの師匠は、「オペラ以外はやるな」という人でした。 でも日本では、もっと多くの人にオペラに足を向けてもらえるよう「橋渡し」をする存在でいたいと思っています。そのためには、活動をオペラに限定することなく、様々な活動を通して自分を知ってもらいたいと考えています。そして、早くから歌曲に取り組むことは、歌手としての自分を客観的にみつめ、成長させてくれます。常に様々なことに挑戦し、自分を磨いていくうえで、「オペラ」と「歌曲」の両立を大切に考えています。 オペラは・・・、アンコールにご期待ください(笑)。

「色物であり、王道でありたい。」

数年前に受けたインタビューでの答えだ。

-数年前の僕は「色物であり、王道でありたい」と言っていましたが、これは少し訂正したい。今は「橋渡しをして、その暁には僕は職人でありたい」と思っています。橋渡しのために、クロスオーバーな演奏会にも出るし、職人であるために2年間一切活動をせず留学もする。それが僕の両面だと思っています。

「バリトンからテノールへ転向」

バリトン歌手としてすでに多くの仕事があった山本にとって、 その活動を休止しテノール歌手へ転向することは大きな賭けだったに違いない。

-ドラマティコ役をダンディに歌いたいと思っていました。バリトンからテノールに転向してしばらくはテノールの中でもリリコ・スピントと呼ばれる比較的重たい声の役を頂き幸せを感じていた時期もありましたが、どうも違うなと。
本来の自分を生かすには、自分にとって一番艶やかで、歌手としての寿命も長く、自由に歌うためには、一度自分を解体して、整理をしなければと思いました。そこで、深みも軽やかさも輝きも兼ね備えたリリコ・レッジェーロへの転向を決意しました。
ただ、音域をずらしたのではなく、バリトンからテノールへ、そしてテノール・リリコスピントからテノール・リリコレッジェーロへと広がる結果となり、音楽性の広がりも感じています。

「欲張りでいたい、そしてお客さんとは最大限交流したい」

ステージと客席の距離が近く、お互いの交流を大切にしてきた私たちからの、公演後のディナーパーティへの参加提案に快諾し、ファン交流への意欲を話してくれた。

-とにかく伝えたいという思いが強いです。熱量が多くて、つい喋りすぎてしまう。
でも相手の話を聞くのが好きで、他の分野の話にとても興味があります。
欲張りなんだと思います。でもその欲張りな自分が、強みでもあると思っています。
八ヶ岳でお客さんとの交流ができるのであれば、最大限したいです。
そして耳の肥えた八ヶ岳高原音楽堂のお客さんにもぜひ聴いていただきたいし、交流させていただきたいです!


凱旋リサイタルを聴いて感じた将来性やスター性は、インタビューを通してより明確に感じられた。「将来の方向性は、実はまだ定まらない」と正直に話してくれた言葉の裏には、欲張りな山本の高い理想が垣間見える。アレもコレもを確実に自らの力に変える、次世代型オペラ歌手、山本耕平にご期待いただきたい。


山本耕平さんから 公演に向けてメッセージ

コンサートのき聴きどころや、意気込みを語ってくださいました♪


≪終演後のディナーについて≫

山本耕平さん参加決定に伴う、ディナー会場変更のご案内

山本耕平さんのディナー参加決定に伴いましてブッフェ会場を、レストラン「花暦」から、メインダイニング「ル・プラトー」に変更させていただきます。山本さんによる冒頭ご挨拶のほか、テーブル訪問等のイベントを予定しております。

何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。


プログラム

F.P.トスティ:セレナータ
:アマランタの4つの歌
1.私を放っておいて!息をつかせて
2.夜明けは光から闇を分かち
3.祈っても無駄
4.賢者の言葉よ、何を語るか

O.レスピーギ:朝 ~『六つのメロディー』
:霧
:雨 ~『六つの抒情詩第1集』

歌曲集「みやこわすれ」 曲:千原英喜  詩:野呂昶(さかん)
1. 薔薇の香りの夕ぐれ
2. はっか草
3. すみれ
4. みやこわすれ

レオンカヴァッロ:朝

F.P.トスティ:可愛い口もと
カルディッロ:カタリ

※曲目・曲順は変更になる場合がございます。

CONCERT INFORMATION

◆2018年9月29日(土)
山本耕平 テノール・リサイタル
コンサート詳細はこちら


お問い合わせ:八ヶ岳高原ロッジ 電話:0267-98-2131