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特集『アーティストの素顔』Vol.1

「人生を決めた音」広めるために ――――― サクソフォン奏者 須川展也

2002年、NHK連続テレビ小説「さくら」のテーマ音楽として流れた親しみやすいサクソフォンのメロディー。「クラシカル・サクソフォンの魅力を多くのひとに伝えたい。」と演奏してきた須川展也が、名刺代わりの1曲を手に入れた瞬間だった。

そのとき既にデビューから18年、日本を代表するサクソフォン奏者として活躍し、ソロ奏者として華々しい実績を残していたが、その道のりは、ピアノやヴァイオリンのトップアーティストとは少し違う。

芸大在学時から著名なコンクールで優勝を重ね、卒業すぐ佼成ウィンドオーケストラへの入団(オーケストラ正団員という道のないサクソフォン奏者にとって国内最高の楽団)も決まったが、「デビューして数年間はソロの仕事はほとんどなく、どんな小さな仕事であっても、どんな場所であっても、演奏料があろうがなかろうが、演奏できるのであれば何でもやりたいと思った。どんな条件でも構わないので“ソロ演奏をたくさんやりたい”とアピールして回った。」

ピアノやヴァイオリンなどの楽器に比べて、サクソフォンは歴史が浅く、特にクラシックの分野では認知度が低かった。加えて他の独奏楽器との圧倒的な差は、その楽曲レパートリーの数にあった。「基本的にクラシックのサクソフォンの曲は、パリ音楽院の演奏試験のために作曲された曲。―音楽の作り方や技術を審査しやすい曲がほとんど。クラシックの伝統ある曲の中では、コンサート向きというよりは、試験のための曲というイメージが強かった。」

実力が認められ、活動の場が広がっていくに従い必要性を増すレパートリーの問題。そこで、須川は様々な作曲家へ作品の委嘱をはじめる。コンサートで誰もが聴きやすいプログラムを作成するために、そして後に続くサクソフォン奏者たちに道を作るために。そして現在、その数はなんと60曲を超える。(作品一覧を後述)

中でも、吉松隆「ファジイバードソナタ」は世界各地で演奏されている。「世界的サクソフォン奏者ジャン=イヴ・フルモー氏の尽力もあり、楽譜がフランスで出版されることになった。これが爆発的にヒットし、瞬く間に世界に広がった。さらに国際コンクールの課題曲にも選ばれるようになった。世界各地で行っているマスタークラスでも多くの奏者がとり上げているのを見かけ、嬉しく思う。」

昨年デビューから30周年を迎えた。

東京文化会館での記念コンサートでは、ギターやピアノとのデュオ、デビュー間もなく結成したトルヴェール・クヮルテットとの共演、そして現在、自身が常任指揮者を努めるヤマハ吹奏楽団との共演によるコンチェルトの演奏など、満席の大ホールに30年間分の想いをぶつけた。そして第2弾の紀尾井ホールでは、鬼才ピアニストとして知られ、作曲家としても活躍しているファジル・サイにサクソフォンとピアノの作品を委嘱し、ステージでも共演した。

同じく2014年に出版された著書「サクソフォンは歌う!」(時事通信社)では、サクソフォンに魅了された少年が、その純粋な情熱で苦難を乗り越え、人脈を広げ、ただ前だけを向いて突き進む姿が書かれている。その一節に載せられた、恩師・故大室勇一が須川のデビューリサイタルに寄せたメッセージが、今に通ずる人柄を物語っている。

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須川君のこと

中学生にも間違われかねない小柄な高校生の男の子が、希望に目を輝かせながら初めて私のところへやって来てから、もう何年になるのだろう。

滅法明るくて、ちょっと口数の多いその少年が、人並みはずれた才能の持ち主であることがわかるのに、そう長い時間はかからなかった。また、彼はまだ初歩のエチュードをやっているうちから「僕は人前で吹くのが好きなんです!」などと大胆なことを平気で言うような、ちょっぴり目立ちたがりやで、ミーハー精神を持ち合わせた少年でもあった。だから彼の素晴らしさをそのまま口にすると、彼が有頂天になり、せっかくの才能が真直ぐに伸びて行かないのではないか、という不安を私は感じて、レッスンではあまり褒めないようにしたことを覚えている。しかし、いずれにせよ彼を教えることは、常に私の大きな喜びであったころは言うまでもない。

(中略)

彼の音楽に対する姿勢は年々変化しているように思える。いま彼の意識の中では、学歴とかコンクール最高位の誇りといったようなことは、既に過去のものになりつつあるようだ。名声よりも、より大きく、より深い音楽を求めて、真摯な態度で勉強を続ける最近の彼の様子に、私は好感をもっている。

若さとヴァイタリティーに溢れた須川君。彼の、美しいものを受け止める感受性のアンテナは、常に高度な性能を保っているので、今後も彼は果てしなく成長を続けるであろう。私はそれを楽しみに見守って行きたいと思う。リサイタルの成功を心から祈っている。

須川展也著「サクソフォーンは歌う!」(時事通信社) より

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サクソフォンとの出会いは、中学校の音楽の授業で聴いた『アルルの女』だった。「オーケストラの響きのなかに透きとおった温かい音に衝撃を受けた。そしてこの“天から降ってくるような透明な美しい音”のクラシカル・サクソフォンをもっと世の中の人に知ってもらいたいと強く思った」。その想いは今も変わらない。

2015年5月30日(土)
須川展也 サクソフォンリサイタル
コンサート詳細はこちら

須川展也委嘱&献呈作品リスト(初演年順/編曲作品は除く)

室内楽

伊藤康英:無伴奏アルトサクソフォーンのためのシャコンヌ(初演:1980.8.21.)
ツヴァイザムカイト (初演:1982.12.22.)
ドリーミング・ドール(1983)
アルト・サクソフォーンと吹奏楽のための《幻想的協奏曲》(初演:1983.4.7.)
無伴奏アルト・サクソフォーンとピアノのためのツヴァイザムカイトⅡ(初演:1984.5.10.)
ツヴァイザムカイトⅢ(初演:1985.6.13.)
ツヴァイザムカイトへの補足的一章(初演:1986.12.21.)
ラモーの主題による変奏曲 (1988.8.12.)
サクソフォーン四重奏曲 第2番(初演:1991.1.13.)

初期の活動を支えた作曲家・伊藤康英氏は、須川展也の高校・大学の先輩

吉松隆:ファジイバードソナタ(初演:1991.11.1.)

須川展也の名を国際的に知らしめた傑作。須川は 世界で“ミスターファジイバード”の異名も

本多俊之:陽だまり(1993)

吉松隆:夢色モビール(1993)

本多俊之:Quintet(初演:1993.4.18.)

ジャズ・サクソフォニスト本多俊之氏とは、 トルヴェール・クヮルテットでの共演も多い

長生淳:もあしび(1993.7)

真島俊夫:カフェ・サンジェルマン(1994)

本多俊之:宵(1994)

菅野よう子 :Strange Grass Hopper(初演:1994.7.22.)

本多俊之:The 7th Wonder(初演: 1994.7.22.)

長生淳:ULTRAVIOLET(初演:1994.7.22.)

佐藤聰明:ランサローテ(初演:1994.1.12.)

真島俊夫:シーガル(1995)
BIRDS ―アルト・サクソフォンと吹奏楽のための協奏曲(1995)

スワロー、シーガル、フェニックスの3つの楽章からなる、吹奏楽の大名曲!

佐藤聰明:ランサローテ(初演:1994.1.12.)

長生淳:天国の月(初演:1995.5.8.)

鍋島佳緒里:エキゾティック・ダンス(初演:1996.4.26.)

長生淳:カルメン・ラプソディ(1996.5.)

本多俊之:Saxophone Paradise(初演:1996.2.11.)
D-Walk(初演:1996.10.31.)

西村朗:ラメント(初演:1997.7.13.)

本多俊之:Prologue(初演:1997.11.16.)
High Five(初演:1997.11.16.)
Higgledy-Piggledy(初演:1997.11.16.)
Epilogue(初演:1997.11.16.)

長生淳:トルヴェールの四季(初演:1998.2.1.)

須川展也、そしてトルヴェール・クヮルテットの盟友、長生淳氏。多くの傑作を書いている

本多俊之・本多尚美:JAZZ ETUDE (初演:1998.4.20.)

長生淳:抒情の森 La Forêt Lyrique(初演:1998.5.8.)
サクソフォーン八重奏曲(初演:2000.12.10.)

猿谷紀郎:漂雲(初演:2001.)

金子仁美:気泡 アルト・サクソフォンとピアノのための(初演:2001.11.30.)

小六禮次郎 :SAKURA (2002)

NHK朝の連続テレビ小説「さくら」の主題曲で、須川展也の美音がお茶の間に

長生淳:サクソフォン四重奏曲(初演:2002.9.22.)

権代敦彦:「虹」 回心+(初演:2003.1.26.)

加羽沢美濃 :黒い森/S・N・S アルト・サクソフォンとピアノのための(初演:2003.10.31.)

長生淳:トルヴェールの《惑星》(初演:2003.12.12.)

加藤昌則:マドリッド・インスピレーション(初演:2004.9.25.)

P.スウェルツ:ウズメの踊り(初演: 2005.1.27.)

長生淳:天頂の恋(初演:2005.10.26.)
長生淳:パガニーニ・ロスト(2008)

石川亮太:日本民謡による狂詩曲(初演:2010.8.25.)

長生淳:オリエンタル(初演:2010.11.19.)

長生淳:L’aphorisme <ラ・フォリスム>(初演:2012.1.27.)

中橋愛生:静寂の森、饒舌な雨(初演: 2013.2.19.)

加藤昌則:ソナタ・ルシーダ(初演:2013.10.5.)

新実 徳英:《ラ・ヴァルス F 》(初演:2013.12.6.)

石川亮太:ナポリ!ナポリ!ナポリ!(初演:2014.5.5.)

ファジル・サイ:組曲〜アルト・サクソフォンとピアノのための Op.55(初演:2014.10.16)

協奏曲

吉松隆:サイバーバード協奏曲(初演:1994.3.21.円光寺雅彦指揮/読売日本交響楽団)

ファジイ・バードと共に、国際的な人気を誇る吉松隆氏の傑作の名曲

西村朗:サクソフォン協奏曲「魂の内なる存在―Esse In Anima―」(初演:1999.7.1.アラン・ギルバート指揮/NHK交響楽団)

N響や都響など、名門オーケストラでの再演が多い

長生淳:英雄の時代(初演:1998.12.11.岩城宏之指揮/東京佼成ウインドオーケストラ)

本多俊之:Concerto du vent~風のコンチェルト(初演:2000.11.23.岩村力指揮/日本フィルハーモニー交響楽団) 

吉松隆:ソプラノ・サクソフォン協奏曲「アルビレオ・モード」(初演:2005.4.29.藤岡幸夫指揮/関西フィルハーモニー管弦楽団)

加藤昌則:スロヴァキアン・ラプソディ(初演:2005.6.26.レオシュ・スワロフスキー指揮/スロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団)

スロヴァキアの民謡満載。スロヴァキア人の心も掴んだ名作

本多俊之:SAX とオーケストラの為の協奏曲(初演:2005.11.23.岩村力指揮/日本フィルハーモニー交響楽団)

長生淳:プライム-クライム-ドライヴ(初演:2006.4.29.藤岡幸夫指揮/関西フィルハーモニー管弦楽団)

サクソフォン四重奏のための協奏曲

E.グレグソン:サクソフォン協奏曲(初演:2006.5.10.クラーク・ランデル指揮、BBCフィルハーモニック)

名門BBCフィルと初演、東フィルやN響とも再演した、未来の古典

マーティン・エレビー:シナモン・コンチェルト(初演:2008.4.11.山下一史指揮/東京佼成ウインドオーケストラ)

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