高原の四季

春。雪解けとともに小鳥たちがいっせいに歌い始めます。高原の春は、命の祝福にあふれています。

G.W.を間近に控えた4月下旬。春を告げる鐘のように、ウグイスの鳴き声が高原に響きわたり、高原は眠りから目を覚まします。自然郷内を散策すれば、ハルリンドウやショウジョウバカマなどの野草たちが可憐な花を咲かせているのにお気付きになるでしょう。 5月に入ると自然郷のアプローチを飾るカラマツ並木も芽吹きの季節を迎えます。陽光に輝くそれは、まるでエメラルドを散りばめたような美しさ。杣添川に面した標高1600m周辺の南斜面に群生するトウゴクミツバツツジが薄紫色の上品な花を咲かせるのもこの頃です。足元に目を向ければ、コゴミ、ワラビなどたくさんの種類の山菜を見つけることもできるでしょう。春はまさに命の祝福の季節です。 6月に入ると純白に映えるコナシの花とレンゲツツジの鮮やかな朱色のコントラストが高原を彩ります。木々は日に日に緑を深め、季節は初夏へ、ゆっくりと移り始めます。

平均気温:4月 6.2℃/5月10.5℃/6月14.3℃
高原が目覚める春はバードウォッチングに最適の季節。ぜひ双眼鏡をお持ちください。


夏。 平均気温19度の澄み渡った空気と吹き競う100種以上の花たちが夏の高原を彩ります。

シモツケ、タチフウロ、ヤナギランをはじめ100種以上の草花が咲き誇り、一年で最も華やかな表情を楽しませてくれる自然郷の夏。この季節はまた誕生の季節でもあります。郷内でも子育てのために訪れたアオジ、ビンズイらの姿やアカゲラが縄張り宣言として奏でる軽快なドラミングのリズムを楽しむことができます。雪解け水が渓流を豊かに潤す夏はフライフィッシングにも絶好の季節。羽虫たちがライズする朝夕がベストタイムです。夏の高原の魅力は、夜にクライマックスを迎えます。野辺山に宇宙電波観測所が設置されていることでもお判りのとおり、空気の澄み渡った八ヶ岳高原は日本で最も星の観測に適した地として知られたエリア。夏休みにはぜひスターウォッチングもお楽しみください。それはまさに満天の星空。都会が忘れかけている夜本来の輝きとの出会いが、ここにはあります。

平均気温:7月 18.6℃/8月19.1℃
湿度も低く過ごしやすい季節ですが、紫外線は意外と強いので日焼けにはご注意ください。


秋。紅葉、黄葉、常林樹が奏でる壮大なシンフォニー。点描画を思わせる高原の秋の始まりです。

街がうだるような残暑にあえいでいる頃、高原には一足早く秋がやってきます。8月も中旬過ぎにマツムシソウやワレモコウが咲き始めます。9月中旬頃には八ヶ岳稜線の紅葉を皮切りに、ダケカンバの林が、あっと言う間に黄色く色づき始めます。春には花を楽しませてくれたサラサドウダンが見事な紅葉を迎えるのは10月。郷内のドウダン園には樹齢数百年を越える古木も十数株あり、貴重な存在として保存されています。10月中旬にはヤマモミジも紅葉の盛りを迎え、郷内は紅葉、黄葉、常緑樹が織り成す点描画の世界へ。 11月、カラマツが「八ヶ岳イエロー」と呼ばれるシックな色彩で高原を黄金色に染め上げる頃、高原は美しさの頂点を迎えます。新蕎麦をはじめ、収穫されたばかりの旬を味わう楽しみも、秋の喜び。キノコなどの山の幸と一緒に味わえば、美味しさもまたひとしおです。

平均気温:9月 15.3℃/10月8.8℃
高原の秋は思いのほか冷え込みます。ご来郷の際は厚手のセーター等をお忘れなく。


冬。白銀に続く動物たちの足跡、木々に咲く霧氷。冬の高原には荘厳な自然のドラマがあります。

11月。木々の梢にアトリやオオマシコらの可憐な姿を見つけたら、それが冬の始まり。やがて峰々が雪化粧で彩られ、荘厳な自然のドラマが幕を開けます。 冬の自然郷を象徴する霧氷が見られるのは12月から3月の早朝。木々にまっ白な花が咲いたかのようなその神秘の美しさ。朝日を浴びると消えてしまうほんの短い時間だけの自然が創る芸術です。 窓の外の雪景色を眺めながら、暖炉の暖かさに身をゆだねるひとときも、冬の自然郷の素敵な楽しみ。クリスマスには、イルミネーションが夜を鮮やかに彩ります。 晴天の多い冬の高原では眺望もまた格別。西には八ヶ岳連峰の厳しさをたたえた荘厳な表情が、南東には富士山や奥秩父連山の雄姿がパノラマに広がります。 スノーシューで郷内を散策すれば、輝く白銀の上にノウサギやリスが残した足跡に出会うことができます。

平均気温:11月3.6℃/12月-1.9℃/1月-5.6℃/2月-4.9℃/3月-1.2℃
寒さのなかでこそ感じられる雄大さ、荘厳さ。八ヶ岳高原の魅力は冬に極まります。