「ピアニストは手職人、 紡ぐ音を感じてほしい」

―今回の柱は、アイスランドの作曲家 マグヌッソンのピアノソナタですね。

「50周年の記念碑的な企画として、やはり大曲のマグヌッソンかなと。今回は八ヶ岳だけでの演奏です。壮大なスケール、緻密でおおらかでひたむきで美しく、純粋な精神の結晶の作品です。大海原に乗り出す鯨の様な大きさ、畏敬の念を感じ、氷河を削る様な思いで取り組んでいる、八ヶ岳でぜひ弾きたかった一曲です。」

―ほかの曲はいかがですか。

「バッハは左手で弾くようになり初めて弾いた記念の曲。弾く度に瑞々しい新世界が広がります。吉松隆さん編曲の子守歌も、エスカンデ作曲のディヴェルティメントも、明るく歓びが溢れ、節目を飾るにふさわしい曲です。エスカンデの曲中にはびっくりするようなお楽しみもありますよ。」

―楽しみにしているファンにメッセージを。

「前半は重量感が、後半は開放感がある曲という面白い構成です。10年以上前からきている八ヶ岳での公演は、それぞれに格別の想い出があります。静寂さの中にゆかりのリヒテルや武満徹さんの気配を感じ、周囲の自然も含め、素晴らしい音楽を響かせてくれる環境です。私を迎えてくれる人たちと、同じ音の空間を共有できれば嬉しいです。」

＜回答：舘野 泉＞

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