没後25年のオマージュ「武満 徹、その眼差し」 vol.1

「マチネの終わりに」に寄せて 

出演:福田進一、藤木大地、平野啓一郎

芥川賞作家・平野啓一郎の話題作「マチネの終わりに」に寄せて、
文学と音楽の共鳴を武満 徹に捧ぐ。

音楽家はもちろん、詩人や小説家を交え、ジャンルを超えた自由な音楽祭を企画した武満 徹への没後25年のオマージュとして、天才ギタリストとジャーナリストの恋を描いた話題作「マチネの終わりに」に取り上げられた楽曲を中心に、文学と音楽の共鳴に想いを馳せる。

2021年9月4日(土)
14:30開場 / 15:00開演

※開場時間まで、音楽堂エリアにはお立ち入りいただけません。

【出演】
福田進一(ギター)
藤木大地(カウンターテナー)
平野啓一郎(小説家)

【プログラム】
■ 「マチネの終わりに」音楽集~小説から映画から
バリオス:大聖堂
アルベニス:アストゥリアス
ヴィラ=ロボス:ガヴォット・ショーロ(ブラジル民謡組曲より)
菅野祐悟:幸福の硬貨(映画「マチネの終わりに」メインテーマ)
武満 徹:すべては薄明のなかで(第一楽章) ほか

■ 武満 徹 没後25年のオマージュ
レノン=マッカートニー(武満 徹):イエスタデイ
ハロルド・アーレン(武満 徹):オーバー・ザ・レインボー 
武満 徹:SONGSより「小さな空」「死んだ男の残したものは」
武満 徹:MI・YO・TA ほか

■ トークセッション
「文学と音楽 ~ 響きあう二つの世界」

※出演者・曲目・曲順など、内容が変更になる場合がございます。

●福田進一(ギター)Shinichi Fukuda 

1955年大阪生まれ。1981年パリ国際ギターコンクールでグランプリ優勝。

以後約40年に亘り、ソロ・リサイタル、主要オーケストラとの協演、超一流ソリストとの共演を続け、ボーダーレスな音楽への姿勢は世界中のファンを魅了している。

2017年からウィーン・フィル元コンサートマスター ライナー・キュッヒル氏との演奏活動を開始。2018年4月には全米6都市でのソロ・コンサートツアー、各地の音楽大学でのマスタークラスで好評を博した。2019年3月にはモスクワ・チャイコフスキーホールで、国立スヴェトラーノフ交響楽団と武満徹<虹に向かってパルマ>をロシア初演。9月には作曲家L.ブローウェルと共に台北国際ギターフェスティバルに参加、その直後、スイス・ジュネーヴ音楽院にてリサイタルとマスタークラスに招かれた。大阪音楽大学、広島エリザベト音楽大学、昭和音楽大学、上海音楽院(中国)、アリカンテ大学(スペイン)各音大のギター科客員教授。東京、アレッサンドリア、ハインスベルグ、コブレンツ、全米ギター協会など、主要国際ギターコンクールの審査員を歴任。

平成19年度「外務大臣表彰」受賞。平成23年度芸術選奨「文部科学大臣賞」受賞。 2019年11月公開の映画「マチネの終わりに」(監督:西谷弘、主演:福山雅治、原作:平野啓一郎)では、クラシックギター監修を務めている。

ディスコグラフィーは既に100タイトルを超える。2020年10月にはフルートの工藤重典氏とのアルバム「音の旅~夜明けのセレナーデ」(マイスターミュージック)を、11月には荘村清志、福田進一、鈴木大介、大萩康司のギタリスト4名によるデュオ曲集「DUO2」(日本コロムビア)をリリースした。2021年は、新録音「バロック・クロニクルズ2」や、過去の秘蔵音源によるCDも発売が予定されている。

2020年9月よりインターネットラジオOTTAVAにてクラシック専門番組「6弦上のアリア」でパーソナリティを務めている。また、ネット配信動画プログラム「福田進一 ザ・ギターレッスン」を開講、好評を得ている。

オフィシャルサイト https://shin-ichi-fukuda.themedia.jp/

藤木大地(カウンターテナー)Daichi Fujiki

“選ばれし声が伝える歌の魂” (~朝日新聞「フロントランナー」)

2017年4月、オペラの殿堂・ウィーン国立歌劇場に鮮烈にデビュー。アリベルト・ライマンがウィーン国立歌劇場のために作曲し、2010年に世界初演された『メデア』ヘロルド役(M.ボーダー指揮/M.A.マレッリ演出)での殿堂デビューは、日本人、そして東洋人のカウンターテナーとしても史上初の快挙で、~「大きな発見はカウンターテナーの藤木大地だった。あの猛烈 なコロラトゥーラを彼のような最上の形で表現できる歌手は多くはない」(Der Neue Merker)、「藤木大地はそのカウンターテナーで、説得力のある印象を残した」(Oper in Wien)、「藤木大地は芯のあるクリーミーな声のクオリティと、眩いばかりの音のスピンの力で、モダンオペラの化身となった。」(Parterre)、「藤木大地は難解なヘロルド役をわがものとしていた」(Salzburger Nachrichten)~など、現地メディアから絶賛されるとともに、音楽の都・ウィーンの聴衆からも熱狂的に迎えられただけでなく、日本国内でも、おはよう日本(NHK)や国際報道2017(NHK BS1)、新聞各紙でとりあげられるなど、大きなニュースとなる。

2011年、ローマ国際宗教音楽コンクールファイナリスト。2012 年、第31回国際ハンス・ガボア・ベルヴェデーレ声楽コンクールにてオーストリア代表として2年連続で選出され、世界大会でファイナリストとなり、ハンス・ガボア賞を受賞。同年、日本音楽コンクール第1位。権威ある同コンクールの81年の歴史において、初めてカウンターテナーが優勝したことは、センセーショナルな話題となった。

2013年5月、ボローニャ歌劇場の開場250周年記念として上演されたグルック『クレーリアの勝利』マンニオ役(G.S.デ・リシオ指揮/N.ロウェリー演出)に抜擢されてヨーロッパデビュー。続いて6月にも同劇場でバッティステッリ『イタリア式離婚狂想曲』カルメロ役(D.カフカ指揮/D.パウントニー演 出)で出演。本場イタリアの名門歌劇場での計12公演の演唱にて、国際的に高い評価を得る。

国内では、これまでにM.ポンマー、L.スラットキン、T.コープマン、S.カンブルラン、R.エガー、A.バッティストーニ、小林研一郎、井上道義、小泉和裕、鈴木雅明、高関健、大植英次、広上淳一、大野和士、上岡敏之、佐渡裕、藤岡幸夫、飯森範親、沼尻竜典、阪哲朗、下野竜也、園田隆一郎、三ツ橋敬子、鈴木優人ら各氏の指揮のもと、NHK響、東京都響、読売日本響、東京フィル、東京響、日本フィル、新日本フィル、東京シティ・フィル、神奈川フィル、名古屋フィル、セントラル愛知響、大阪フィル、日本センチュリー響、関西フィル、京都市響、兵庫芸術文化センター管、九州響、札幌響、仙台フィル、オーケストラ・アンサンブル金沢、群馬響、京都フィル、紀尾井ホール室内管弦楽団、トウキョウ・ミタカ・フィルハーモニア、シアターオーケストラトーキョー、アンサンブル・ノマド、東京ヴィヴァル ディ合奏団、新ヴィヴァルディ合奏団、そしてバッハ・コレギウム・ジャパンら主要オーケストラのほとんどと、オペラ『夏の夜の夢』『リア』『ポッペアの戴冠』『リナルド』『リトゥン・オン・スキン』(日本初演)や、「第九」「カルミナ・ブラーナ」「マタイ受難曲」「ヨハネ受難曲」「メサイア」「ミサ(バーンスタイン)」「チチェスター詩篇(バーンスタイン)」「レクイエム(モーツァルト)」「レクイエム(フォーレ)」をはじめとしたオーケストラ作品で共演。国内外のマエストロたちから、その唯一無二の柔らかな美声と類稀なる音楽性にて絶大な信頼を得ている。また、作曲家の西村朗、杉山洋一、加藤昌則、酒井健治ら各氏より楽曲提供を受け、世界初演、再演を重ねている。

また、世界的な声楽家たちがこぞって指名するピアノの巨匠マーティン・カッツをはじめ、ギタリストの荘村清志、福田進一、鈴木大介、村治佳織、大萩康司、オーボエ奏者の吉井瑞穂、ルネサンスハープ奏者の西山まりえ、ソプラノ歌手の中村恵理、田中彩子、アーティストのサラ・オレイン、村松崇継ら各氏との共演や、ピアニストの松本和将、佐藤卓史、萩原麻未ら各氏との共演による各地でのソロリサイタルも常に絶賛され、全国からのオファーが絶えない。

メディアでの活躍も目覚ましく、NHKニューイヤーオペラコンサートに5年連続出演したのをはじめ、Direct Talk(NHK WORLD)、ららら♪クラシック、名曲アルバム、クラシック音楽館(NHK)、 題名のない音楽会(テレビ朝日)、読響シンフォニックライブ(日本テレビ)、クラシック倶楽部 (NHK BSプレミアム)、おんがく交差点(BS東京)、子供たちに残したい美しい日本のうた(BS朝日)、きらクラ!、ベストオブクラシック、リサイタル・ノヴァ、ラジオ深夜便(NHK FM)などへの出演、新聞や雑誌への登場で、広く認知度を獲得している。

2017年4月にはウィーン・デビューを記念しファーストアルバム「死んだ男の残したものは」(キングインターナショナル)をリリース。詩人の谷川俊太郎氏より「懐かしいリリシズムの新しい目覚め」と言葉を贈られる。また2018年10月に公開された村上春樹氏原作の映画「ハナレイ・ベイ」の主題歌を担当し、同時にメジャー・デビュー・アルバム「愛のよろこびは」(ワーナーミュージック・ジャパン)をリリースし、同作のライナーノーツは俳優の井上芳雄氏が担当した。

2019年にはアメリカの名匠レナード・スラットキン氏の指揮による大阪フィル「チチェスター詩篇」にて大好評を博し、ピアニストのマーティン・カッツ氏をアメリカより招いた全国4都市のリサイタルツアーを成功裡におえ、サントリーホール サマーフェスティバルで日本初演された大野和士指揮ベンジャミンの話題のオペラ『リトゥン・オン・スキン』に第1の天使/少年役で出演、その絶唱が話題となる。
Bunkamura30周年記念として世界初演されたK-BALLET COMPANYによる熊川哲也版 新作『カルミナ・ブラーナ』(アンドレア・バッティストーニ指揮)に出演し、NHK音楽祭では、トン・コープマン指揮 モーツァルト「レクイエム」にアルトソロで出演し、世界の巨匠から最大級の賛辞を授かった。また、シルヴァン・カンブルラン氏の指揮による酒井健治氏の名古屋フィルへの新曲「ヴィジョン- ガブリエーレ・ダンヌンツィオに基づいて」世界初演での卓越した歌唱で喝采を浴びるなど、活躍はますますの充実をみせている。

2020年には、自身が東京文化会館からオファーを受け、企画原案・主演を務めた新作歌劇『400歳のカストラート』が上演以前より注目を集め、初演、地方公演ともに大成功を収めたように、プロデューサーとしての仕事ぶりにも定評がある。またエッセイストとしても神戸新聞やWebマガジン 「ONTOMO」などで連載をもつほか、教育活動は歌唱指導のみならず、洗足学園音楽大学、横浜国立大学、スター・クラシックス・アカデミア(名古屋)などでアートマネジメントの講義も担当している。

新国立劇場オペラ芸術監督の大野和士氏からは「私たちのヒーロー、日本が誇るカウンターテナー」と評され、2020/2021シーズン開幕公演のブリテン『夏の夜の夢』(飯森範親指揮/L.ハウスマン演出- D.マクヴィカーの原演出に基づく)にオーベロン役で主役を務め、妖精王の風格漂う圧倒的な存在感 と、非人間界へ誘う声で聴衆を魅了した。続けて、バッハ・コレギウム・ジャパンとのヘンデル『リナルド』(鈴木優人指揮)にもタイトルロールで登場し、温かみのある演唱が各誌で称賛され、オペラ歌手としての人気を不動のものとする。びわ湖ホール、新国立劇場、水戸芸術館の再開公演の重責を担った2020年の活躍は、朝日新聞紙上にて「藤木大地は劇場と聴衆の『再会』の担い手に」と回顧された。

2021年も、日本のフォークソングに初めて挑戦する東京・春・音楽祭での「にほんの歌」、ソリスト歌手として参加した熊川哲也「カルミナ・ブラーナ」2021 特別収録版、新国立劇場が贈る〈子どもたちとアンドロイドが創る新しいオペラ〉として話題の渋谷慶一郎『スーパーエンジェル』(大野和士指揮)世界初演における主人公アキラ役、読売日本響「第九」(フランチェスコ・アンジェリコ指揮)、千葉、岐阜、徳島、山口、大阪、宮崎、茨城など全国各地でのリサイタルや、レギュラー出演している「子供たちに残したい美しい日本のうた」(BS朝日)をはじめとするメディアへの定期的な登場など、クラシック音楽界のフロントランナーとして縦横無尽の活動が期待されている。

バロックからコンテンポラリーまで幅広いレパートリーで活動を展開し、デビューから現在まで絶えず 話題の中心に存在する、日本で最も注目される国際的なアーティストのひとりである。
第19回松方ホール音楽賞受賞。第25回青山音楽賞青山賞受賞。東京藝術大学音楽学部声楽科卒業。新国立劇場オペラ研修所修了。ウィーン国立音楽大学大学院(文化経営学)修了。 洗足学園音楽大学客員教授。宮崎県出身。みやざき大使。

オフィシャルサイト https://www.daichifujiki.com/

●平野啓一郎(小説家) Keiichiro Hirano

1975年愛知県蒲郡市生。北九州市出身。京都大学法学部卒。

1999年在学中に文芸誌「新潮」に投稿した『日蝕』により第120回芥川賞を受賞。40万部のベストセラーとなる。

以後、一作毎に変化する多彩なスタイルで、数々の作品を発表し、各国で翻訳紹介されている。2004年には、文化庁の「文化交流使」として一年間、パリに滞在した。

美術、音楽にも造詣が深く、日本経済新聞の「アートレビュー」欄を担当(2009年~2016年)するなど、幅広いジャンルで批評を執筆。2014年には、国立西洋美術館のゲスト・キュレーターとして「非日常からの呼び声 平野啓一郎が選ぶ西洋美術の名品」展を開催した。同年、フランス芸術文化勲章シュヴァリエを受章。

また、各ジャンルのアーティストとのコラボレーションも積極的に行っている。

著書に、小説『葬送』、『滴り落ちる時計たちの波紋』、『決壊』、『ドーン』、『空白を満たしなさい』、『透明な迷宮』、『マチネの終わりに』、『ある男』等、エッセイ・対談集に『私とは何か 「個人」から「分人」へ』、『「生命力」の行方~変わりゆく世界と分人主義』、『考える葦』、『「カッコいい」とは何か』等がある。

2019年に映画化された『マチネの終わりに』は、現在、累計58万部超のロングセラーとなっている。

2019年9月から2020年7月末まで、北海道新聞、東京新聞、中日新聞、西日本新聞にて、長編小説『本心』連載。「自由死」が合法化された近未来の日本を舞台に、最新技術を使い、生前そっくりの母を再生させた息子が、「自由死」を望んだ母の、<本心>を探ろうとする。ミステリー的な手法を使いながらも、「死の自己決定」「貧困」「社会の分断」といった、現代人がこれから直面する課題を浮き彫りにし、愛と幸福の真実を問いかける平野文学の到達点。2021年5月26日、単行本刊行。

長編英訳一作目となった『ある男』英訳『A MAN』に続き、『マチネの終わりに』英訳『At the End of the Matinee』も2021年4月刊行。

オフィシャルサイト https://k-hirano.com/

主催:八ヶ岳高原ロッジ TEL:0267-98-2131